医薬品安全管理研修会2020年1月 (第14回)
(日本語社会人教育プログラム)
「2025年問題」に向けた高齢者への医薬品リスクマネージメントと新規薬剤の適正使用
2007年度から厚生労働省では全国の医療機関と調剤薬局において、医薬品安全管理の更なる向上を目指し、医薬品安全管理者制度や医薬品安全管理研修など様々な新らたな対策を導入しました。これに伴い、学会としては全国の病院と薬局にとって参考となる資料を提供する機会の必要性を認め、「医療技術安全教育セミナー」の中に「医薬品安全管理研修会」を設置し、沖縄から北海道に至る多数の参加者により満席となりました。
厚生労働省による年2回開催が指定される研修会に対して、学会では2連続日での開催に対応し、遠方からの参加者の便を図ります。
今年度の主テーマは、「2025年問題」に向けた高齢者への医薬品の安全な使用への取り組みと新規薬剤の適正使用としました。初日には高齢者の薬物療法の安全確保に向けた取り組みとしてポリファーマシーに着目し、大学と地域におけるポリファーマシーへの取り組みの事例と東京都全般におけるポリファーマシーの現状に関する講義があります。また薬剤師にとって、医療事故や適正使用対策などにおいて、種々のデータの活用は重要ですが、得られたデータの統計処理の仕方、データの解釈と活用について統計手法を利用して専門の先生からわかりやすく講義が行われます。今年度の特別セッションとしては、今後の在宅や緩和ケアにおいて必要とされる緩下剤について最新の薬剤を含めて講義されます。さらに、2019年4月に4年ぶりに「高血圧ガイドライン」が改訂されましたが、降圧目標の変更や在宅、入院患者に対して薬剤師が知っておくべきポイントについて臨床医の先生から講義されます。
2日目には、精神科の臨床医の先生から、高齢者への安全な催眠導入剤の使い方に関する講義があります。従来のベンゾジアゼピン系薬剤とスボレキサントやラメルテオンなどの使い分けなどについて貴重な情報を提供します。最後の講義は、高齢者で特に多い嚥下困難患者の服薬管理の適正化について、嚥下補助剤が錠剤崩壊性や溶出性、薬効の発現に及ぼす影響に関して講義されます。
以上、本年度も過去にない全く斬新なプログラムをお届けし、医薬品事故の予防の向上に資するものです。
医薬品は世界的に日進月歩の競争の激しい重大な医療分野であり、医薬品の安全は世界的な関心事です。
2019年9月
主催者一同
酒井 亮二 国際予防医学リスクマネージメント連盟会長・理事長
清野 敏一 帝京平成大学薬学部教授、前東大病院副薬剤部長、日本医療安全学会理事
その他
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