FamilyPic             日本医療安全学会 Japan Society of Clinical Safety (jpscs)

 

(主催)国際医療リスクマネージメント学会

(後援)日本医療安全学会

 


 



   主催者の挨拶

 

院内医療事故調査教育セミナー2015

 

(日本語社会人教育プログラム)

 

院内における医療事故調査法の基本

 

 人はエラーを起こす生き物であることは、古来、世界各地で知られています。エラーを起こさないのは神様だけでしょう。

 

 

20世紀半ばになったイギリスで新興産業である航空業界では航空機事故が続発しました。「真の原因を究明し、安全性を抜本的に改善することなくして、航空機は産業として成り立たない」と考えたチャーチル首相は、「事故が起きた産業の人物が所轄機関へ届け出た場合は罪を免責することにより、大量に事故データを集めよう。そこから、システム内部に潜むエラーの真の原因を探し、システムを抜本的に改善する」という原則を国民へ打ち立てました。その結果、巨大な人工物を高速で動かすという超難度の高度安全技術が誕生しました。この原則が鉄道事故を含む様々な生産技術の発展につながり、先進国では20世紀末の製造者責任法によってさらに強化されました。

 

 

 現在米国での医療事故の死者数は、2日に1度に起きるジャンボジェット機墜落での死者数に匹敵する、というジョッキングな報告があります。今、欧米のみならず、南米や中近東諸国でも1か国で2千名〜5千名規模の医療安全に関する大規模な会議が毎年開催されています。現在の世界において医療事故は特殊な人物がたまたま遭遇するのではなく、医療従事者全員が何かのニァミスを経験しており、その原因は医療が超難度の複雑な高度システムに発達したことです。

 

航空機事故や交通事故、あるいはそれら以上に、医療事故は世界の強い関心事です。

 

 

 

 最近、日本の厚生労働省では比較的長い時間をかけて検討した結果として、全国の医療機関に対して院内医療事故調査を義務付けました。「事故を起こした人を罰するのではなく、システム内部に潜む真の原因を探し、安全文化を向上する」という他業界の大原則が日本医療界に定着するには、効果的な事故調査制度が不可避です。

 

 医療事故をどうやって調査すべきか? 日本医療界に突然突きつけられた難問。このために、本教育セミナーでは医療機関が円滑に事故調査を進めるうえでの基本知識を提供します。

 

 しかし、本セミナーの目的はあくまで「事故を起こした人を罰するのではなく、システム内部に潜む真の原因を探し、医療安全文化を向上する」ことです。

 

 

 

 

なお、医療安全文化の向上には、より高度な知識と機能を有する高度医療安全管理者が不可欠です。そこで、本年度から日本医療安全学会の協力の下、学会認定「高度医療安全管理者」資格制度が開始されます。本プログラムはこの認定資格取得における必須科目でもあります。

 

 

 

 

 

20155

 

酒井 亮二  国際医療リスクマネージメント学会(IARMM)会長・理事長

主催者一同

 

 

 

 




 



 









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