医療安全教育セミナー2013春季
(医療安全リスクコミュニケーションとコーチングの日本語社会人教育プログラム)
(第5回)
コミュニケーション・エラーを防ぐ能力開発の実習編
米国や日本では医療ミスの原因の7割が、ノンテクニカルエラー(専門技術ではない一般的なエラー)です。さらに、その大部分の原因が医療者と患者・遺族ないし医療者間のコミュニケーション・エラーです。説明不十分、省略的態度、隠ぺい的体質といったコミュニケーション・エラーによって、患者と遺族に不信感、心の深い傷、怒りを引き起こし、全国の病院で多数の甚大な医療紛争が発生しています。
そこで2009年より、医療安全に係わる医療者と患者・遺族ならびに医療者間のリスクコミュニケーションの代表となる実践的な技術指導を実習により普及しています。この試みは医療安全分野における世界初の企画で、世界最先端の技術です。2012年度からはイギリスで主催した英語安全管理研修会でも取り上げ、世界各地の参加者から大変注目されました。
さて、第5回目の日本語による研修会では2日間にて高度なコミュニケーション技術を取り上げます。
第1日目は、医療現場におけるコーチングの意義について事例をまじえて解説し、その実習ではコーチングの構造を知り、いくつかのコーチング・スキルを習得します。今回はチームへのコーチングのあり方についても取り上げられます。コーチングは高度な指導者の基本技術です。
第2日目は、医療現場に求められる正確な伝達力とは何かを理解し、1)医療現場でのリスクを軽減するいくつかのコミュニケーション・スキルを習得し、2)正確な伝達訓練に関して実習を行います。
人と人の間のコミュニケーション、人と機械のコミュニケーションの向上は協同空間であるチーム医療の現場で絶大なリスク低減効果をもたらし、逆にその失敗は医療の現場で深刻・致命的なエラーを発生します。
本分野において日本をもっとも代表する先生方によるコミュニケーション技術実習により、医療者と患者・遺族ならびに医療者間の言語的・非言語的リスクコミュニケーション能力が大いに向上します。
正確かつ高度なコミュニケーションなくして、現実的かつ高度な医療安全の世界の出現は不可能です。
2012年12月
国際予防医学リスクマネージメント連盟
世界健康リスクマネージメントセンター
理事長 酒井 亮二
主催者一同
|