医療安全教育セミナー2012夏季
(日本語社会人教育プログラム)
医療安全における国内外の最前線
日本で最初に開催された医療安全のための社会人教育プログラムである「医療安全教育セミナー」は、本年度で7年目を迎えました。本社会人教育プログラムの目的は、1)日本医療界に医療安全の高度専門家を育成すること、および、2)全国の医療機関にとって参考となる医療安全に関する極めて高度な教材を日本語で提供することです。
リスクマネージメントのリーダー育成はハーバード大学で類似の教育セミナーが毎年開催され、全米各地と海外から多数の参加があります。アジアでもこのような機会の必要性を痛感し、友人である先方の主催者の協力を得て、世界学会として2005年より日本において特別に開催し、毎年、沖縄から北海道に至る多数の参加者により連日満席となりました。
2012年5月にはロンドン大学にて医療安全教育セミナーの国際版を開催します。
さて、日本では様々な医療安全活動が組織化され、医療安全に必要となる院内外の基本インフラが整えつつあります。そこで、一昨年度の日本で開催する夏季セミナーからは、本セミナーの初心である「医療安全に携わる人々の極めて高度な専門能力の開発」という原点に回帰しています。
第1日目は、リスクマネージメント学における代表的な課題について、様々な関連分野の方々のご協力により、それらの最新情報が解説されます。
第2日目は、医療安全のために開発されてきた先端技術を、海外からの報告を含めて紹介いただきます。英国のReason名誉教授は、医療安全の基本知識であるスイス・チーズモデルの開発など、ヒューマンファクターと安全工学に関する世界一の権威者です。また、医薬品リスクマネージメント・ガイドラインは、日米欧州の先進国によって、医療リスクマネージメントの有り方といて、最近発表されました。これらの講演は、海外における様々な医療安全の取り組みの中から、厳選してお届けします。
第3日目は、医療事故の原因として7割を占めるとされるノン・テクニカル・エラーの原因である医療でのリスクコミュニケーション問題、そして、安全に関する様々な社会制度の問題に焦点を当てました。リスクマネージメント研究について世界で最も長い歴史を有し、最も高度な発展をしておりますドイツの最新事情について、日本人としてドイツのリスクマネージメントに関して最も詳しい講師の先生から、詳細に報告いただきます。WHOが近年医療安全の手段として提唱している「安全チェックリスト」の実践報告も行われます。日本からの話題には、最近制度化された産科補償制度の医療安全における制度問題をご報告いただけることになりました。
以上のように、今年度は、医療安全で開発されている様々な先端技術・知識について、日本と海外を代表する多数の方々によってご講義いただけることになりました。
安全教育は人類の永遠の課題ですが、本プログラムは各医療施設での医療安全の技術向上に大いに資します。
2012年4月
国際予防医学リスクマネージメント連盟 (URMPM) 会長・理事長
世界健康リスクマネージメントセンター (WHRMC) 理事長
酒井 亮二
主催者一同
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